「ストックX」の二次流通市場から最新トレンドを展望 スニーカーからアート、スポーツまで
スニーカーシーンではやはりナイキ(NIKE)一強の流れが続いており、“最も取引数が多かったブランド”は1位が「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)、2位が「ナイキ」、3位が「アディダス(ADIDAS)」、4位が「ニューバランス(NEW BALANCE)」、5位が「コンバース(CONVERSE)」だった。このため“最も取引数が多かったモデル”もナイキ勢が大半を占めており、1位が“エア ジョーダン 1(AIR JORDAN 1)”、2位が“ナイキ ダンク(NIKE DUNK)”、3位が“エア フォース 1(AIR FORCE 1)”、4位が“イージー 350(YEEZY 350)”、5位が“エア ジョーダン 4”となっている。
この中で注目すべきは、“ナイキ ダンク”の順位だ。20年は誕生35周年だったことからナイキがマーケティングに注力し、1年間に「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」、セレクトショップ「スラム ジャム(SLAM JAM)」、ラッパーのトラヴィス・スコット(Travis Scott)、アイスクリーム屋「ベン&ジェリーズ(BEN & JERRY’S)」など、多方面とのコラボを実施。この勢いが2021年も止まらず、前年6位から大きく順位を上げた。しかし、22年は“エア フォース 1”の40周年というアニバーサリーイヤーであると同時に、あまりのリリースラッシュに市場が食傷気味であることも否めず、順位を1~3位は落とすことが予想される。
また、パンデミックにより在宅勤務が一般化したことで需要が高まった「クロックス(CROCS)」も、トップ5入りを狙えるほど調子がいい。“稀代のシューズデザイナー”トレンド市場とは と称されるサレヘ・ベンバリー(Salehe Bembury)を迎えた新作モデルを開発するだけでなく、22年は多くのコラボモデルが控えているようなので目が離せない。さらに、「ニューバランス」はブランドを象徴する“990”シリーズの最新作“990v6”を3年ぶりに発売すると噂されており、こちらも両ランキングでさらなる上位進出が期待される。なお“最も取引数が多かったモデル”は、サイト開設以来“エア ジョーダン 1”が6年連続1位という快挙を達成。この座が揺れ動くことは、今後5年はないだろう。
“2021年に最も取引数が多かったブランド(アパレル)”
「ストックX」がストリートスタイルに偏っていることもあり、1位は不動の「シュプリーム(SUPREME)」。これにジェリー・ロレンゾ(Jerry Lorenzo)の「フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」、エイサップ・バリ(A$AP Bari)の「ヴィーロン(VLONE)」、トラヴィス・スコットの「カクタス ジャック(CACTUS JACK)」、「ナイキ」が続いた。3位の「ヴィーロン」は、昨年の8位から大きくジャンプアップ。理由としては、数年前までは不定期に開催されるポップアップストアが主な購入先という稀少性の高いブランドだったのが、近年はファン層の拡大のために卸を積極的に行っているからだろう。この結果、リセール市場にも多くの商品が流れるようになった。一方で、昨年2位の「カクタス ジャック」は順位を2つ落として4位に後退。因果関係は定かではないが、トラヴィス主催の音楽フェスでの死亡事故が少なからず影響を及ぼしている可能性がある。そして、テルファー・クレメンス(Telfar Clemens)が手掛ける「テルファー(TELFAR)」は、なんと順位を18も上げてトップ10入り。カルト的な人気を集めるアイコンバッグとあわせて、20-21年秋冬コレクションで披露した「アグ(UGG)」とのコラボコレクションが後押しした。
同ランキングに「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の名前がないのは、先述の「ストックX」の特性を前提に、定価の問題と“プレ値(プレミアム価格)”の付きにくさが原因だろう。このことから「バレンシアガ」だけでなく「グッチ(GUCCI)」や「ディオール(DIOR)」といったラグジュアリーブランドは、たとえ市場でどれだけ人気が高くても同ランキングに入ることは難しい。だが、故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の死去後、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「オフ-ホワイト」のアイテムは取引価格が高騰し、取引数も激増していることから、次回のランキングに食い込む可能性は高い。
“2021年に発表され、最も取引数が多かったコラボコレクション(アパレル)”
コラボに限定しても、毎シーズン数十ブランドを越えるコラボレーターを招へいする「シュプリーム」が無類の強さを見せた。6月発売の「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」とのコレクションが2位に、11月発売の「ティファニー(TIFFANY & CO.)」とのコレクションが3位にランクインした。だがトップに輝いたのは、カニエ・ウエスト(Kanye West)改めイェ(Ye)が手掛ける「イージー(YEEZY)」と「ギャップ(GAP)」のコラボレーションライン“イージー・ギャップ”だった。同ラインは20年に立ち上げ、21年に商品販売を開始。これまでラウンドジャケットとフーディーの2型を複数カラーで発売するのみにとどまっているが、イェ本人がライブや街中で着用し、国やカラーごとに販売時期をずらすなど、巧みなマーケティングで見事トップに輝いた。2030年まで続く“イージー・ギャップ”は今後、Tシャツやキャップといった手に入りやすい価格のアイテムが多数控えているそうで、“最も取引数が多かったブランド(アパレル)”で上位の常連組になるかもしれない。
“2021年に最も取引数が多かったコレクターズアイテム”
ニューヨークを拠点に活動するアーティストのカウズ(KAWS)が、“最も取引数が多かったコレクターズアイテム”で堂々の1位。カウズは、フィギュアをはじめとするオリジナルアイテムを多数販売しているだけでなく、2021年だけでもユニクロ(UNIQLO)のグラフィックTシャツブランド「UT」「サカイ(SACAI)」「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」「ポーター(PORTER)」「カクタス プラント フリー マーケット(CACTUS PLANT FLEA MARKET)」など、さまざまなブランドとのコラボを発表し、圧倒的な取引量と人気の高さから納得の順位となった。2位はメディコム・トイ(MEDICOM TOY)が販売する人気フィギュアシリーズ「ベアブリック([email protected])」、3位はコロナ禍によるステイホームで大人の新たな趣味として人気に火が付いた「レゴ(LEGO)」、4位はアパレルと同等かそれ以上に小物やアクセサリー類のラインアップが豊富な「シュプリーム」、5位は二頭身のボブルヘッド人形“ポップ!(Pop!)”で知られるトイブランド「ファンコ(FUNKO)」となっている。
“2021年に最も取引数が多かったアーティスト(アートプリント)”
アーティスト(アートプリント)別で見ると、ブランド「オベイ クロージング(OBEY CLOTHING)」を手掛けているストリートアーティストのオベイこと、シェパード・フェアリー(Shepard Fairey)がトップに立った。彼は、バラク・オバマ(Barack Obama)前米国大統領の選挙ポスターを製作するなど、アメリカで圧倒的な知名度があるだけに文句なしの順位だろう。これに続くのが、村上隆と奈良美智という日本のアートシーンをけん引する2人の巨匠。村上はここ数年、ストリートシーンでの人気がうなぎ登りで、来年にはトップが入れ替わってもおかしくはない。奈良はもともとドローイングの人気が欧米を中心に極めて高いが、アパレルブランドとの初めてのコラボで「ステラ マッカートニー(STELLA MCCARTNEY)」とのコレクションを成功させたことも、この順位に関係しているはずだ。
“2021年に最も取引数が多かったトレーディングカード”
ファッションとは少し逸れるが、トレーディングカードでは「ポケットモンスター」が1番人気だった。なんと、他カードブランドと比較して約2倍の取引量を記録したという。昨今、トレーディングカードは青天井の盛り上がりを見せており、「ポケモン」では初期版リザードンが状態のいいものだと数百万〜数千万円で取り引きされることも珍しくない。また、レトロゲームや漫画、スポーツメモラビリア(使用済みアイテムや直筆サイン入りグッズなどスポーツ関連の記念品)なども日に日に資産としての価値が認められ、価格が高騰。“最も取引数が多かった選手カード”はマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)を抑え、“MJ以来の逸材”と称されるNBA3年目のザイオン・ウィリアムソン(Zion Williamson)となった。
“2022年のトレンド予想”
(c) Nike (c) Nike (c) Nike (c) Nike 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから トレンド市場とは 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから 「シュプリーム」の公式サイトから
コロナ禍によって生活にスポーツを取り入れる人が増えたため、22年はより幅広いスポーツのアイテムがスポットライトを浴びることになるだろう。ゴルフがその最たる例で、トレンドセッター の「ナイキ」は“エア マックス 97(AIR MAX 97)”など人気スニーカーのデザインをゴルフシューズに落とし込むだけでなく、ドレイク(Drake)とのコラボライン“ノクタ(NOCTA)”からゴルフウエアを発売。「ジョーダン ブランド」も同様の動きを見せており、結果として同ブランドのゴルフシューズの取引数は前年比270%を記録している。加えて、じわじわと人気が広がっているのがフィッシングだ。「シュプリーム」と「サウス2ウエスト8(SOUTH2 WEST8)」によるフィッシングがコンセプトのコラボコレクションは、「ストックX」で最も注目されたアパレルの一つだったという。そして、「サノバチーズ(SON OF THE CHEESE)」や「フラグスタフ(F-LAGSTUF-F)」もフィッシングアイテムを販売しているように、感度の高い早耳の人々は海や川へと出向いている。
【RTDとは】市場拡大の理由や関連企業を分かりやすく解説!
「サントリーRTDレポート2021」を元に作成
RTD市場は13連続で拡大していて、2021年も好調を維持しています。
しかし、アメリカでは健康志向の高まりから低アルコール・低カロリーへとシフトしています。
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RTD市場拡大の理由
- レモンRTDの流行
- ノンアルコールRTDの流行
- 家飲み需要の拡大
レモンRTDの流行
「サントリーRTDレポート2021」を元に作成
2021年(見込)では RTD市場の約半分がレモンRTDとなるほどに流行 しています。
- 飲み飽きない味だから
- 食事に合うから
- 果実感を味わえるから
- 味が甘くないから
ノンアルコールRTDの流行
家飲み需要の拡大
総務省の「家計調査」から2019年と2020年を比較してみると、家計消費の上昇率の中でチューハイやカクテルが32.5%も上昇しています。
総務省統計局「家計調査(家計収支編)時系列データを元に作成」
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RTD関連企業3選
キリンビール
キリンHPより引用
キリンHPより引用
アサヒビール
アサヒビールHPより引用
アサヒビールHPより引用
サントリースピリッツ
サントリーHPより引用
サントリーHPより引用
RTDとは【まとめ】
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アパレル業界の市場規模とその動向とは?
2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業・企画の両面で責任者を務める。
※リクルートではMVPやマネジメント賞など、個人・マネージャー賞を多数受賞。
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。
新規事業の立上げ~収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、Webマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、業務システムの導入、融資を中心とした資金調達~財務のコンサルティングを得意としている。
今まで担当してきた業種は「システム受託開発」「Webサービス」「HR Tech」「販売サービス」「スクール業」など多岐に渡る。
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Pro-D-useの
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⼀⼈⼀⼈のお客様へのサポートの質を保つ
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毎⽉先着3社 を上限と設定させて
頂いております。
為替市場の長期トレンドと「時間効果」の関係-長期トレンドはミクロな動的特性から形成される | ニッセイ基礎研究所
表1と表2は、Bloombergよりデータ入手可能であった2007年以降の各時間帯の終値を用いて、対円通貨ペア(豪ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、米ドル/円)を円高・円安局面に、対米ドル通貨ペア(豪ドル/米ドル、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル)を米ドル高・米ドル安局面に、それぞれ月次データ(月末終値)を用いてBry-Bochan法 1 により長期トレンドの局面判断を行った上で、それぞれの局面に分けて各時間帯の終値の差分を足しあげた結果である。また、特にトレンドが強く出ていた時間帯を塗りつぶした。結果を見ると、必ずしもすべての時間帯において長期トレンドの形成に寄与しているわけではないことが分かる。対円通貨ペアの「(2):11:00~15:00」や対米ドル通貨ペアの「(1):7:00~11:00」のような時間帯は、長期トレンドの局面とは関係なく一貫性をもって一方向に動いている。その一方で、塗りつぶした時間帯に着目すると、これらの特定の時間帯における一方的な動きが長期トレンドの形成に大きく寄与していることが分かる。米ドル/円であれば、夕方から深夜にかけた円安方向の動きが長期的な円安トレンドの形成に寄与し、正午前後の円高方向の動きが長期的な円高トレンドの形成に寄与するということである。よって、これらの特定の時間帯の為替レートの動きを一定期間観測してミクロな動的特性の強弱を抽出することで、長期トレンドの予測が可能なことを示唆しているのではないか。
1 全米経済研究所(NBER)で開発された分析手法で、内閣府経済社会総合研究所においても景気基準日付の設定にも用いられている。Bry-Bochan法について詳しく知りたい方は、『Cyclical Analysis of Time Series: Selected Procedures and Computer Programs (NBER)』等を参照されたい。
【トレンド振り返り】ディスプレイ広告市場の現状と今後-データ活用が握る市場成長の鍵―
2014年4月に新設されたアドプロダクト開発室では自社の広告商品の開発、並びに啓発を行っています。新しい広告商品の開発では、どのような機能やオプションが必要か、広告販売や運用経験が豊富なスタッフが日々検討を行い、サービスに反映しています。また、商品の啓発や改善については、主にDACグループのDSP「MarketOne®」やDMP「AudienceOne®」などを中心に対応を行っています。最近では、広告主が持つCRMなどのデータを基に、最適なオーディエンス・広告枠を見つけ出し配信する「コンバージョン拡張」「キーワードターゲティング」「リターゲティング」機能 ※1 や、オーディエンスを属性や興味関心などで分類する「カスタムターゲティング」機能 ※2 などの改善を行いました。
※1:いずれも「MarketOne®」提供
※2:「AudienceOne®」にて提供。「MarketOne®」においても、ExchangeWireへの記事公開以後、提供を開始。
日本のディスプレイ広告市場において、2014年は一言で言うとどんな1年でしたか?
広告の自動取引(プログラマティック)が更に加速した一年でした。デマンドサイドでは、広告主、広告会社へのDMPの導入が進み、データを活用したデジタルマーケティングが広く浸透しました。DACのDMP「AudienceOne®」も導入が進んでおり、大手広告主を中心に多くの企業にご利用頂くことが出来ました。
また、特定の売り手と買い手だけが参加し、クローズドな環境で取引が行われる「プライベートエクスチェンジ、プライベートマーケットプレイス」 ※3 が徐々に普及してきています。 誰もが売り手、もしくは買い手として参加できる従来のオープンオークション形式のRTB取引と比較して、媒体としてのブランドを毀損せずに収益を確保できる手段として、特にサプライサイド(媒体社)からご好評を頂いています。
ディスプレイ取引以外の領域においても、AdFlowやKaizenPlatformなどクリエイティブ制作・進行管理やランディングページの最適化において新しいソリューションが浸透し、自動化が進みました。
※3: トレンド市場とは プレミアム媒体の特定枠において、入札者(広告主)を限定して行われる広告取引のこと。「プライベートエクスチェンジ」の詳細は、過去紹介している記事を参照(リンク)。
2014年のディスプレイ広告市場において「これは発展したな」という分野はありますか?
データフィードを活用した広告配信でしょうか。サービスとしては以前から提供されていましたが、2014年に活発に導入が進んだと感じています。Criteo ※4 を導入する企業が増加しましたし、特にGoogleやfacebookにおいてもサービス提供を行ったことがデータフィードを活用した広告配信が普及を後押ししたのではないでしょうか ※5 。また、DFO(データフィード最適化)のソリューションを提供する事業者が増えたことで、広告主がデータフィードを手軽に利用し、ユーザーの具体的なニーズを反映した広告の配信を行えるようになったため、広告効果も高いという認識が広がりつつあります。
但しこのようにユーザーの行動と深く関連した広告の場合、ユーザーのプライバシーにも十分に配慮する必要があります。DACは、インターネット広告推進協議会(JIAA)や、Data Driven トレンド市場とは Advertising Initiative(DDAI)の取り組みを通じて、行動ターゲティング広告などで行われるユーザー情報の取得内容やオプトイン/アウトの重要性についての啓発活動を行っています。また米国のインターネット広告の業界団体IABとも意見交換を行い、ユーザーが十分な判断材料をもとに情報提供の可否を選択できるような環境づくりに取り組んでいます。
※4:CRITEO社
※5:Google Adwords動的リマーケティング広告、facebookのデータフィードを活用したサービス(feedforce社提供)
海外、および国内で注目している動きはありますか?
そうですね。海外ですと、米国では、データの価値が明らかになるにつれオーディエンスデータの囲い込みの動きが加速しています。一部の大手広告主は既にDSPやDMP、トレーディングデスクのインハウス化を進めています。また大手広告会社WPPはトレーディングデスク「X-axis(ザクシス)」 ※6 と、自社DMP「Turbine」を 連携させるなど、プログラマティック対応を進めています。また、FacebookやTwitterといった各プラットフォーマーは、自社のカスタムオーディエンス機能と広告主が所有するCRMデータを掛け合わせることで広告効果を高めるといった仕組みを提供していますね。ただ、自社で抱える配信データを外部にはフィードバックしない ※7 といった点が見受けられます。
一方日本では、広告主や広告会社などのソリューションベンダーがオーディエンスデータを本格的に活用できる環境が整いつつあります。今年はより一層データドリブンなマーケティングが普及していくことでしょう。日本は米国のように無数の技術やプレイヤーが誕生し、統合を繰り返しながら市場そのものが急成長していくという流れではないため、米国と比較するとやや緩やかなスピードになる可能性はありますが、いずれにしてもプログラマティックが加速していくことは間違いないと思います。
※6:X-axis(ザクシス)
※7:データを活用して配信を行うことが出来るが、その結果に関して細かく分析を行うことは出来ない
ディスプレイ広告において、2015年に注目しているキーワードは?
現在位置情報は、ターゲティングそのものというよりも、オーディエンスの特性を推定する『プロファイリングの材料』としてどう活用するか、が注目されています。従来、オーディエンスの属性や興味関心の推定には、ブラウザの閲覧データが活用されてきました。ただ、スマートデバイスではブラウザよりもアプリを利用される傾向が強く、かつアプリ上は従来の方法ではデータの取得が難しいため、オーディエンスの行動の推定を行うには充分な情報量とは言えませんでした。しかし、位置情報であればアプリでも取得が可能です。そのため、オーディエンスの位置情報がスマートデバイスによって把握できるようになると、より精緻なオーディエンス像の推定が可能になる、ということで注目が高まっています。
日本のディスプレイ広告市場が成長するために「解決すべき課題」はなんでしょうか?
新たな広告フォーマットの開発や広告スペースの改善、統一にとどまらず、データ活用のための更なる環境整備が必要だと言えます。また、蓄積したデータが何を意味しているのかを正しく理解し、有効に活用できるいわゆるデータサイエンティスト、データアナリストの育成が急務だといえます。また、国としての整備という話にはなりますが、何が個人情報の境目なのか?という整理やデータ利用の考え方自体も整備していく必要がありますね。
2015年予測:2015年のDACのディスプレイ広告に対する方向性、期待値は?
一人のオーディエンスが複数の端末を持つことが一般化しているなか、デバイスを超えた行動データの統合を行うことでより最適なプランニングが可能になると思います。
たとえば、生活家電の購入に際して「情報収集や閲覧はスマホで行うが、実際の購入はPCで行う」といったように、一人のオーディエンスが商品購入という一つの目的に対して、デバイスによって異なる行動をするケースがあります。現状では、「コンバージョン直前のデバイスと接触メディア」のみ広告効果があった、として評価されてしまうことが多々あります。特にスマートデバイスにおいてはその傾向が高いのでは、と感じています。
しかし、複数のデバイスでの行動を統合すれば、情報収集に利用されたデバイスやメディアもコンバージョンに貢献したとされ、正当な評価を受けることが可能になります。大きな意味で“アトリビューション分析”を行う、というイメージですね。スマホとPC、またスマホとデジタルサイネージ、店頭のポスターとスマホなど様々なメディアで行うことが出来るイメージです。
また、スマホで生活家電の情報収集を行ったオーディエンスのPCに広告を配信することで、コンバージョン・レートの精度を高めることができるかもしれません。複数のデバイスをまたいで行動するひとつのオーディエンス像といったものを複合的にとらえて向き合っていくことが、ユーザー、広告主、媒体社全てが最大のメリットを享受できる環境を作っていくことにつながるのではないでしょうか。
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