ストラテジーの探し方

ストックオプション

ストックオプション
何より最初の1歩としては、経営者が「SOを付与している目的」を確認することが一番重要です。なぜ重要か、と言うと、特にスタートアップはアーリーであればアーリーであるほど、未来に対する不確実性が高いためです。

ストックオプション

Ⅱ ストック・オプションを付与するために付議する議案の内容
1.ストック・オプションに関する報酬等の額
当社の取締役に対する報酬は、会社法第361条第1項に基づき、2007年6月25日開催の第37回定時株主総会において、金銭報酬として年額700百万円以内(ただし、使用人分の給与は含まない。)とすること及び2019年3月15日開催の第49回定時株主総会において上記取締役の報酬等の額とは別枠で、当社の取締役(社外取締役を除く)に対するストック・オプションに関する報酬等の額を年額150百万円以内(ただし、使用人分の給与は含まない。)とすることをご承認いただき、今日に至っております。
2021年3月1日施行の「会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)」により、取締役に対する報酬としての新株予約権の付与について株主総会における決議事項が明確化されたことから、改めて下記のとおり、当社の取締役(社外取締役を除く)に対するストック・オプション報酬等の額を年額100百万円以内(ただし、使用人分の給与は含まない。)とすること及びその内容等につき、ご承認をお願いするものであります。
当社の取締役に対してストック・オプション報酬として発行する新株予約権の額は、新株予約権の割当日において算定した新株予約権1個あたりの公正価額に、割当てる新株予約権の総数を乗じた額となります。ここでいうところの新株予約権1個当たりの公正価額の算定につきましては、割当日における当社株価及び行使価額等の諸条件をもとに、新株予約権の公正価値の算定のために一般的に利用されている算定方法を用いることとしております。
また、当社の取締役の他に、当社執行役員に対しても同様のストック・オプションを割当てる予定です。当社における対象者の貢献度等諸般の事項を総合的に勘案の上で、具体的な付与対象者、支給時期及び分配については、経営委員会に諮った後に取締役会にて決定することとしており、その内容は相当なものであると考えております。

(2)新株予約権の目的である株式の種類及び数
各事業年度に係る定時株主総会開催日から1年以内に発行する新株予約権の目的である株式の数の上限は100,000株とする。なお、新株予約権の目的である株式の種類は普通株式とし、新株予約権1個当たりの目的である株式の数は100株とする。
また、当社が当社普通株式につき株式分割または株式併合等を行うことにより、株式数の変更をすることが適切な場合は、当社は必要と認める調整を行うものとする。

(4)新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
新株予約権1個当たりの行使に際して出資される財産の価額は、新株予約権を行使することにより交付を受けることができる株式1株当たりの払込金額(以下「行使価額」という。)に付与株式数を乗じた金額とする。
行使価額は、新株予約権を割り当てる日の属する月の前月の各日(取引が成立していない日を除く)における株式会社東京証券取引所における当社普通株式の終値の平均値に1.05を乗じた金額(1円未満の端数は切り上げ)とする。ただし、その価額が新株予約権の割当日の終値(取引が成立していない場合はそれに先立つ直近取引日の終値)を下回る場合は、当該終値を行使価額とする。 ストックオプション
なお、当社が当社普通株式につき株式分割または株式併合等を行うことにより、行使価額の変更をすることが適切な場合は、当社は必要と認める調整を行うものとする。

② 新株予約権者は、次の事由のいずれかに該当することとなった場合、その後、本新株予約権を行使することができない。 ストックオプション
ⅰ 補助開始、保佐開始または後見開始の審判を受けた場合。
ⅱ 破産手続開始決定を受けた場合。
ⅲ 当社と競業関係にある会社(当社の関係会社を除く)の役員、使用人またはコンサルタントに就いた場合。但し、当社の取締役会において事前に承認された場合はこの限りでない。
ⅳ 法令または当社の社内規程等に違反するなどして、当社に対する背信行為があったと認められる場合。
ⅴ 当社と新株予約権の割当てを受ける者との間で締結する新株予約権割当契約に違反した場合。

第2回 有償ストック・オプションにおけるインセンティブについて

峯岸 健太郎弁護士 三浦法律事務所 田中 喜博 あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社 金岡 将之 あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社

  1. 第1回 有償ストック・オプションとは
  2. 第2回 有償ストック・オプションにおけるインセンティブについて

先日の有償ストック・オプションの記事(「第1回 有償ストック・オプションとは」)において、有償ストック・オプションが、権利行使価格を時価以上で設定すること、業績条件の達成を権利行使の条件としていることから、既存株主にとって懸念される希薄化に対し配慮したインセンティブのスキーム(希薄化の発生の前提として、株価の権利行使価格以上の上昇のみならず、業績条件の達成という企業価値の実体の向上を伴っている必要があるスキーム)として、オプションの保有者(役員・従業員)と既存株主の利害を一致させることが理想となると紹介しました。

今回は弁護士、投資家の見解を交え、有償ストック・オプションのインセンティブについて考えます。

株価上昇時と株価下落時

弁護士の見解

峯岸氏
有償ストック・オプションは、会社法上、発行する上場会社の役職員に対し、第三者割当により、新株予約権を有償かつ時価(特に有利な金額でない)で発行することにより付与されます。
新株予約権を時価で発行する場合、その払込金額は、「特に有利な金額」(いわゆる有利発行)とならないようにするため、一般に、発行会社の依頼を受けた第三者の算定機関により算定された新株予約権の公正価値を下回らない金額とする必要があります。この公正価値の算定においては、新株予約権の行使価格、行使期間のほか、行使条件のうち定量的なもの(例えば、一定の業績条件など)も勘案されることから、公正価値が適切に算定され、それと同額の払込金額が定められていれば、会社法上、新株予約権としては適法に発行されることになります。

峯岸氏
有償ストック・オプションによる利益は、その付与を受けた役職員が新株予約権の行使により取得した株式を売却することにより実現されます。そうすると、有償ストック・オプションのインセンティブの強弱は、株式を取得するための条件、すなわち、行使価格、行使期間、業績条件等の行使条件(総称して以下「行使条件」といいます)をどのように設定するかにより決まることになるものと思われます。
そして、新株予約権の行使条件が勘案されて公正価値が適切に算定され、それを下回らない払込金額が定められていれば、先ほどのとおり、会社法上、新株予約権としては適法に発行されることになります。

上場会社は、証券取引所規則や金融商品取引法に基づく情報開示をする必要があり、有償ストック・オプションについても、適時開示などが必要となります。
証券取引所の適時開示においては、「ストック・オプションとして新株予約権を発行する理由」という項目があります。その中で、東京証券取引所の適時開示ガイドブックの記載上の注意においては、「発行の目的及び理由についてわかりやすく具体的に記載する」、「新株予約権の潜在株式に係る希薄化の規模や新株予約権に付された行使条件等が、発行の理由・目的に照らして合理的であると判断した根拠についても記載することが考えられます」とあります。そのため、これを踏まえて開示を行う必要があろうかと思われます。

投資家の見解

田中氏
あすかバリューアップ戦略は「国内企業の経営者を支援すること」を理念に掲げ、中長期的な視点で投資を行い、経営者と対話しながら企業価値の向上を目指しています。我々は2005年の設立以降、同戦略への投資助言を通じて、中長期的な視点で投資先企業の向上のための取組を行ってきました。我々はその活動を「バリューアップ活動」と称しています。具体的には市場環境・ビジネスの競争力・経済性分析や株価分析などを通じて価値創造の要となるドライバーについての仮説をたて、仮説の実現に向けて、時間を掛けて経営者との対話に取り組んでいます。

金岡氏
中長期的な視点で投資を考えた場合、オプションの付与条件や行使条件に近視眼的な評価基準が導入され、結果的に少数株主の利益が損なわれる事が無いかという点を懸念しています。
例えば単年度業績をベースとした短い期間での新株予約権付与や付与後の行使期間が近い有償ストック・オプションで、これらに対しては原則的には賛成できないと考えております。理由は経営者が短期利益を追求してしまい、長期利益を犠牲にしてしまう可能性が高いのではと考えているからです。
もともと、株式価値は原理的に長期的なキャッシュフローの集合体であり、大多数の株主は経営者に長期的なキャッシュフロー拡大や利益拡大を求めているはずです。一方で、経営者はインサイダーであるために短期的な利益やキャッシュフローを操作できるポジションにいるわけです。もちろん、企業のゴーイングコンサーンを前提に長期的な企業価値の最大化を目指し経営している経営者が大半であると信じておりますが、近時散見される比較的短期の業績達成をトリガーとした有償ストック・オプションを株主に提案してくる経営者は、短期的な利益操縦により自分たちの役員報酬を引き上げることを優先していると見られてもおかしくないと思います。

当然こういった提案は有利発行であることから株主総会決議事項で過半数の同意を経て決定に至る訳ですが、その過程で提案が利益操作しやすい短期利益を条件とした単年度の役員報酬に近いものであり、その後の長期的な価値拡大を条件としたストック・オプションではないことを一般株主がどこまで理解して賛成票を投じているのか疑問に思います。
例えばですが、そもそもイン・ザ・マネーのオプションが付与され、極めて短期間で付与対象者の役員が億単位の利益を得るケースも過去にはありました。事実上の現金賞与です。では、このようなケースで株主にわかりやすく正々堂々と、現金で役員報酬として同額の現金を払って下さいというような議案がでてきたら賛成する株主はどの程度いるでしょうか?
このようなスキームは、短期的な利益によってカモフラージュされた株主からの利益搾取と誤解されてもおかしくないとも思っています。そのような誤解を無くすためにも同スキームの提案は避けるべきではないかと考えています。

左から、あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社 田中 喜博代表取締役COO、金岡 将之ディレクター

左から、あすかコーポレイトアドバイザリー株式会社 ストックオプション ストックオプション 田中 喜博代表取締役COO、金岡 将之ディレクター

田中氏
重要なのは、オプションが行使される事で発生する希薄化が付与対象者である経営陣によって作り出された企業価値に対する正当な対価と評価できるかどうか?という事かと思います。
先ほどのコメントでも触れてはおりますが、我々は長期投資を基本としていますし、株価は長期的にはゴーイングコンサーンに基づき算出される将来のキャッシュフローを表象すると考えています。したがって一義的には行使条件がクリアされ、株価が上昇したとしても、それが長期的に見た企業価値上昇を伴うものではなく、目先の利益水準の変化による株価変動なのであれば、株主にとっての重要な権利である投資持分の希薄化を認める事は出来ないはずです。
例えば短期の利益を行使条件に設定した場合、経営者側には長期の利益を犠牲にしても短期の利益条件達成を実現させようというインセンティブが働きかねません。株価は短期の利益改善に反応して上昇するかもしれませんが、これは企業価値の上昇ではなく、長期的には株価が下落するリスクを含んでいると言えます。

金岡氏
まず、我々は投資先企業の経営者と資本政策に関しても定期的に対話をしており、このような株主価値を棄損するような資本政策を実施するような事の無いようコミュニケーションを続けております。また、仮にこのような資本政策を株主総会議案として提案してきた場合は早急に会社側と対話を行い、会社側の真意について理解を進めます。その上で、これらの資本政策が本当に株主の利益を損ねるものであると確信した場合は、議案の取り下げをお願いし、それが難しい場合には反対票を投じるべく投資助言を行います。

田中氏
上でのコメントはオプションの行使に対してやや否定的な印象を与えたかもしれませんが、我々は経営陣の真摯な努力により本当に企業価値の向上がみられるならば、その対価として株主が持分の一部を経営陣に提供する事は両社にとっての利益のアライメントの見地からも望ましい事であると考えます。
ただし上記に述べさせて頂いたように、経営陣と株主の間には情報の非対称性が存在する事から、誤解を避け、お互いの真意を理解するための努力が必要であると考えます。
そのためには透明性が高く長期的な企業価値向上とリンクした報酬体系が望ましいと思っています。具体的には単年度の報酬は過去の実績と連動した現金での報酬体系とすべきであり、有償ストック・オプションであれば、少なくとも今後3年程度の中期的な業績目標などのハードル条件を付したものにすべきではないかと思います。なおハードル条件設定に当たっては、既存株主にとっての希薄化が十分正当化され、経営陣の経営努力が明確に評価出来る高い目標であるべきですし、さらに大切なのは行使された結果得られる株式についても短期に売り抜けるのではなく、株主利益とのアライメントが成立するよう一定期間は売却制限を付けるべきではないかと考えます。

また、最近ではストック・オプション付与する対象者を今後の貢献度に応じてフレキシブルに選択できる法人課税信託というスキームは付与者が当初から決まっている有償ストック・オプションと比べるとより良い報酬体系ではないかと思っております。実際、我々の投資先の経営者には中期的な業績目標をベースとした有償ストック・オプションや法人課税信託のスキームを提案しており、採用して頂いた会社も数社あります。

  1. 第1回 有償ストック・オプションとは
  2. 第2回 有償ストック・オプションにおけるインセンティブについて

三浦法律事務所 弁護士。2002年弁護士登録(55期)、濱田松本法律事務所(現 森・濱田松本法律事務所)入所。2006年から2007年金融庁総務企画局企業開示課で専門官(任期付公務員)として、金融商品取引法制の政府令案の企画立案やパブリックコメント作成等に関与。上場会社の株式など発行案件や情報開示、証券会社等の規制対応・当局対応、新規での業登録など、金融商品取引法その他金融規制に関する案件を多く手がける。『金融商品取引法コンメンタール1-定義・開示制度〔第2版〕』(商事法務・2018)共著など、講演・著書・論文多数。2019年に三浦法律事務所を共同で立ち上げる。

あすかコーポレイトアドバイザリー 代表取締役COO 日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)で上場株運用に携わった後、ジャフコにて事業投資・企業価値向上を経験。ユアサエレクトロニクス、キッチンハウス、ヴィクトリア、ガソニックス等の社外取締役・社外監査役を経験。モルガンスタンレー証券会社で中小型企業調査に従事した後、あすかコーポレイトアドバイザリーに参画。大阪外語大学アラビア語学科卒。ペンシルバニア大学ウオートン校経営学修士(MBA)日本証券アナリスト協会検定会員

あすかコーポレイトアドバイザリー ディレクター りそな信託銀行にてファンドマネージャーを経験した後、あすかコーポレイトアドバイザリーに参画。早稲田大学商学部卒。 日本証券アナリスト協会検定会員、 慶應義塾大学SFC研究所所員

ストックオプションのメリットや事例など解説!退職時はどうなる?

とおる

ストックオプションとは、企業が決定した「期間・数・価格」で株式上場前の株を手に入れることができる権利のことです。
一般的に株を購入する際は、JASDAQや東証などの株式取引所へ上場された後にしか購入できません。
ですが、企業がストックオプションを導入することによって、社員や役員は「上場前に上場後よりも安い価格」で手に入れることが可能になります。
上場された後は、株価が高騰する可能性が非常に高いため、安く手に入れた株を価格が上がった時点で売却すれば、大きな利益を得ることができます。

新株予約権との違い

ストックオプションの仕組み

1.新株予約権の発行・付与

まず「新株予約権」を発行する必要があります。
発行するには「権利行使価額」という1株あたりの価格を設定しなければいけません。
この価格は、新株予約権を社員・役員が付与された後、株価が上がったとしても「設定された期間内」であれば、権利行使価額のまま付与・購入することができます。
例えば「権利行使価額100円・5年間・100株」という条件のストックオプションを付与されたとしましょう。
設立から3年で上場した後、4年目に株価が2,000円に上昇しました。
この時、付与されてない方は2,000円でしか手に入れることができませんが、付与されている方は権利行使価額である100円のまま手に入れることができます。

2.新株予約権の行使

決められた期間内に保有している株価が上がったとしても、手に入れる際にストックオプションの権利を「行使」することで、権利行使価額で株を購入できます。
上記の例であれば、2,000円に上がった株でもストックオプションの権利を行使すれば、権利行使価額の100円で手に入るということです。
何らかの不祥事などにより5年間で株価が下がってしまった場合でも、ストックオプションの権利を行使して株を手に入れなければ、損失はありません。

3.株の売却

株価が上場などで上がってからでも、決められた期間内であれば「ストックオプションの権利を行使」することで、権利行使価額で手に入れられるため売却すれば利益が出ます。
100円で100株の株を手に入れた場合、10,000円の購入金額になります。
2,ストックオプション 000円に上がった時は「2,000円×100株=200,000円」となり、売却益は190,000円です。
もちろん、株価の上昇を期待して売却を保有し続けることはできます。
利益を狙うのであれば、焦らず見極める必要もあるでしょう。

ストックオプションの種類

税制適格ストックオプション(無償)

税制非適格ストックオプション(無償)

有償型ストックオプション

権利行使価額を支払うことによって付与されるのが「有償型ストックオプション」です。
有償で購入するため税務上は「金融商品」扱いとなり、課税対象は「譲渡課税」のみとなります。
無償とは違い、自身で自社の株を購入しているという意識が生まれるため、モチベーションアップにもつながりやすいです。

1円ストックオプション

権利行使価額を1円に設定したのが「1円ストックオプション」です。
1円で付与されるため、権利行使時の利益は、ほぼ株価と同等の利益を得ることが可能になります。
主に退職金代わりとして付与することが多く、その場合の課税は「退職金課税(約25%)」となります。

信託型ストックオプション

ストックオプションのメリット

モチベーションアップ

喜んでいる男性

ストックオプションを付与された場合、自社の株価が上昇した分だけ売却したときの利益が大きくなります。
「自社を大きくする」という目標もありますが、こうしたストックオプションでの大きな利益も加わることで、自社の業績を上げるために社員や役員は努力しようとします。
その結果、モチベーションアップにつながりやすいです。

低リスクで株が手に入る

ストックオプション付与の対象となる社員や役員は、特定の期間内であれば購入したとしても権利行使価額で購入することができます。 ストックオプション
通常よりも、はるかに安く株を手に入れることができるため、株価が下がったとしても大きな損失を受けにくくなります。
さらに、株価が思いのほか下落した場合でも、ストックオプションの権利を行使しなければ、株を手に入れることがないためノーリスクの場合もあります。

人材確保のアピールになる

ストックオプションのデメリット

人材流出の可能性がある

自社の業績が上がり株価が連動して大きく値上がりすれば、売却した際に大きな利益を得ることができます。
ストックオプションのメリットではあるものの、こうしたリターンが得られる状況まで株価が上昇し、権利を行使して株を手に入れ売却したあとに退職してしまう人材が出てくる可能性があります。
可能性は低いですが、一度に何億もの利益を得られる場合もあるため、より魅力的で居心地のよい職場環境を作っていくことが重要です。

株価下落によるモチベーション低下

会社の業績が低下してしまう可能性は0ではありません。
どんなに将来性があって期待される企業でも、確実に業績悪化しない保証はありません。
特に、ストックオプションを導入するスタートアップやベンチャーでは、業績が安定するまでに時間がかかることから、株価下落の可能性は十分に考えられます。
業績が上がれば株価も上がるため、モチベーションを低下させないように努力する必要があります。

不公平感が発生することもある

ストックオプション付与の基準を明確に定めておくことが肝心です。 ストックオプション
明確に定めてない状態では、ストックオプション対象者と対象者以外の関係性が悪くなってしまう可能性があります。
対象者以外が対象者となる基準を見た時に、納得できるような基準を設ける必要があるでしょう。
勤続年数や営業成績など、誰が見ても分かりやすい数字で判断できる基準を設けるのがコツです。

ストックオプション活用ポイント

導入にオススメなのはスタートアップ・ベンチャー

ストックオプションを活用するのにオススメな企業は、上場を目指しているスタートアップやベンチャー企業です。
ストックオプションの大きなメリットとして、付与されてから権利を行使した際の株価が上がっているほど、大きな利益を得ることができます。
ですから、大きな成長が期待できるスタートアップやベンチャー企業に導入はアピールポイントになります。
大きなリターンを期待できるだけに、優秀な人材を低コストで確保しやすいというメリットもあるため、ストックオプションを活用するといいでしょう。

VCからの資金調達を考えているなら発行数上限に注意する

ストックオプションを発行する際には、発行数の上限に注意しましょう。
一般的には発行済株式総数の10~15%が望ましいとされています。
会社法上は、特に上限が定められているわけではありませんが、VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達をする場合は、上記の上限を意識することをオススメします。
というのも、発行上限を上げることにより、株式の希釈化が起こるためVC側が敬遠してしまう可能性があるからです。
ちなみに、商法上では1/10までとされていますが、「新事業創出促進法に基づく新事業分野開拓の実施に関する計画の認定を受けた事業者」には、1/3まで付与の拡大が認められています。

ストックオプションは退職時にどうなる?

基本的には、ストックオプションは退職時に失効することが多いです。
そもそも、ストックオプションというのは、社員や役員のインセンティブや退職金代わりに付与されます。
これは、モチベーションをアップさせることで、会社へ貢献してもらいたいという目的があるためです。
ですから、上場前に退職してしまう社員や役員は、会社への貢献度が低かったということになり、基準に満たない退職者にはストックオプションの権利行使を失効させることができます。
もちろん、基準を満たしている社員や役員が退職する際には、退職金代わりとして行使する権利が発生します。
退職時に権利を行使できるかは、企業それぞれ基準が異なりますので、確認しておくと良いでしょう。

ストックオプションの成功事例

ストックオプションの事例で有名なのが「株式会社メルカリ」です。
スタートアップとして2013年に創業して以来、わずか3年で評価額1,000億円突破させ、5年という短期間で上場を成し遂げた日の終値時点では、時価総額は約7,000億円を超える結果でした。
資金調達にしても、近年上場した企業の平均が約5億円ほどに対し、メルカリは5年で約180億円ということからも、いかに期待され破竹の勢いで成長を遂げたかが分かります。
上場時に付与されていたストックオプションは、有価証券報告書に記載されている株主35名(14名は従業員)であり、この中で最も少ない株数を保有している方でさえ、上場時の終値で計算すると約6億円を超える価値となっているとのことです。
細かい条件などを考慮していないものの、上場した瞬間に35名全員が6億円以上の資産を持つ億万長者となったわけです。
今では、従業員の約6割にストックオプションが付与されているとのことで、細かい条件などは抜きにすると、平均で3,000万円以上の価値になるようです。
まさに、成功事例と言えるでしょう。

ストックオプションには夢がある

「Dream」のオブジェ

ストックオプションは、新株予約権の一種であり、企業が設定した「l期間・数・価格」で株を手に入れられる権利のことです。
社員や役員のインセンティブや退職金代わりに付与され、モチベーションアップに貢献してくれます。
未上場のスタートアップやベンチャー企業などでストックオプションがあれば、上場で株価が上る前に「権利行使価額」で権利を行使すれば手に入れることができるため、将来的に大きなリターンを得られる可能性があります。
ただし、業績悪化により株価の下落や倒産する可能性もあるため、必ずしも利益を得られるわけではありません。
その他、付与される基準は企業によっても様々なので、しっかりと確認しておくといいでしょう。
メルカリのような成功事例は稀ですが、ストックオプションには夢があるのは確かです。
当記事で、ストックオプションについて理解を深めて頂けたのであれば幸いです。

ストックオプションを設計するときに最初に読むnote (随時更新)

スタートアップの生存確率を大きく分ける最重要要素の一つとして、とにかく長く探索を続けられる状態を保つ、ということかと思います。故に、その成功確率を高めるため初期の支出=大半は初期の社員への給与を可能な限り下げつつ、手元現金を長く持たせることが重要になります。ただ、当然(その会社の多くの株式を持つファウンダーを除いては)単に給与が安いだけでは受け入れられないので、その分SO(もしくは場合によっては生株)を付与することで、成功したときのアップサイドをシェアし、高くない給与水準を納得感を持って受け入れてもらうわけです。

なお、やや古い資料ですが日本の上場企業を対象としてストックオプションと業績の関係について分析した研究としては以下があります。
・ストック・オプションと企業パフォーマンス (日本政策投資銀行 設備投資研究所)

4. ストックオプションの類型

ストックオプションの類型

また、INITIALが2022年2月に公開したJapan Startup Finance 2021のp.15-19には、「ストック・オプション きほんのき」と題してストックオプションに係る税制の基本、税制適格ストックオプションの要件、ストックオプションの活用事例(エクサウィザーズ社)などがコンパクトにまとまっています。

スタートアップで活用されるSO(Japan Startup Finance ストックオプション 2021)

5. ストックオプション設計時のポイント

5-1. 全体方針の検討

事業面:

自社の成長フェーズ (e.g. すでにPMFしているか)

市場の競争環境 (e.g. Winner takes allな市場か)

組織面:

目指している組織文化 (e.g. 競争的か、協調的か。何をもって社員のモチベーションを高めたいか)

Exit時に想定する経営チーム/組織の規模 (e.g. 労働集約的な事業かどうか、経営幹部(C Suite)をどの程度採用する必要があるか等)

資本政策:

「創業者の視点」という意味で参考になるのは、SmartHRの創業者 宮田さん、LayerXの福島さん、そして自社のストックオプションの詳細を公表して話題となったカウシェの門奈さんの鼎談です。個人的に、宮田さんが提案している「業績ノックアウト条項付きのストックオプションを用いて発行枠を最大20%に拡げる…と言うのは、投資家・役職員の利害のバランスを取る非常に面白いアイデアだと思いました。

SmartHRが初期に発行した2回の無償の税制適格SOは、退職すると失効するものでした。でも途中で、半分は退職後も権利を保持できるように変更したんです。なんでそうしたかというと、そのタイミングで元々あった会社の計画を、より長期目線に引き直したから。(宮田さん)

5〜7年くらいでマザーズに上場するケースの方が多いので、(経営者としては)正直、そのくらいの期間は在籍して貢献して欲しいという気持ちもあります。今のアメリカのように上場までの期間が10年を超えるケースが普通で、さらにそれが伸び続けているような状態に日本もなってくると、SOもそれに合った形に自然となっていくのかなと。(福島さん)

SOを発行する意義はリスクを取ってくれた人たちと成功を分かち合うことだと考えているので、LayerXでは今のところは入社する正社員全員に配っています。もっと人数が増えた時にこのポリシーを変える必要が出てくるかもしれませんが、少なくとも今のフェーズでリスクを取ってくれた人には報いたいと思っていて。(福島さん)

これから未上場で巨大化するスタートアップが増えていくと、今の日本の(発行済み株式総数における)SO比率のスタンダードである10%は、従業員に配るには少な過ぎるんじゃないかなと。これでは大成功した時に、創業者とVCだけが儲かり過ぎる。(宮田さん)

続いて「投資家(VC)の視点」としては、グロービスキャピタルパートナーズの高宮さんへのインタビューが、たいへん多面的で参考になります。

▽ストックオプションのインセンティブの3つの目的
①今までの働きに報いる。
②これからの働きに期待したインセンティブ。
③自社の年収と前職、市場価値に乖離がある人に対する調整。

ストックオプション付与の傾斜は“フェア”にしてください。何をもって“フェア”かはまさに前述の思想によるところですが、いずれにせよ上場時にはオープンになりますし、隠していても案外バレるものなので、説明がつくように制度化しておく必要があります。

制度化というと難しい印象を持ちますが、定量的・定性的の両面から方法論はいくらでもあります。例えば、定量的に制度化する計算式の例として「職位×在籍年数」や「職位×毎年の人事評価」など、現在の会社の人事制度に基づいた制度をいくらでも組み立てることが可能です。
定性的な部分は評価項目になめ幅を入れればいいのです。
期待値のなめ幅も残し明確化します。制度化の計算式の例として挙げた「職位×在籍年数」や「職位×毎年の人事評価」に加えて、「ビジョン体現度」や「メインロール以外の貢献度」などを入れておけばいいのです。

しかし、日本のストックオプション仕組みは皆さんが幻想を抱いているほど美味しいものではありません。前述の通り、メンバーに気楽にばら撒くものでもありませんし、アメリカだとそのベンチャーを辞めても在籍年数に応じてストックオプションを持ち去ることができますが、日本だと消えてしまうことがスタンダードです。また、行使条件も、米国だと未上場時点でも行使して、さらに売却することもできることが多いですが、日本だと上場しないと行使も売却もできません。自分ががっちりコミットして成果を出した時、ハイリスク・ハイリターンとして得ることができるキャピタルゲインと考えてください。

最後に「従業員(転職者)の視点」としては、前出の10X 山田さんの記事を紹介します。本稿の趣旨とは異なりますが、スタートアップへの転職を考えるている方にとって、入社時に確認したい項目のチェックリストとしても大変有用だと思います。

何より最初の1歩としては、経営者が「SOを付与している目的」を確認することが一番重要です。なぜ重要か、と言うと、特にスタートアップはアーリーであればアーリーであるほど、未来に対する不確実性が高いためです。

次に重要になるのは、会社の成長の速度と高さと中計です。もちろんこのターゲット自体は目指した通りになるかはわかりませんが、経営者や会社全体がどこを目指しているかで、例えば同じ「SO 0.1%」の持つ意味も大きく変わりますので、この点は確認しておくべきです。

IPOにおける外部専門家へのストックオプションの付与について

ストックオプションは、株式が有償で発行される有償交付方式と無償で発行される無償交付方式の2種類があります。
有償交付方式の中には相殺方式と呼ばれるものがあり、この方式は、会社が発行した募集新株予約権と、あらかじめ付与してある金銭報酬債権等とを相殺することから、実際の払込は行われません。簡便であるため、実務上、多くの会社が相殺方式を採用しています。
無償交付方式は、新株予約権そのものを非金銭報酬として取締役に支給する方法をいいます。

ストックオプションの目的

会社法改正法との関係

そこで、これらの問題点を含む会社法が改正され、令和3年3月より新たな会社法が施行されました。
ただし、改正されたストックオプションに関する手続は、取締役に対して付与するものに限られ、IPO外部専門家に対しストックオプションを付与する手続は従前のままですので、無償交付方式と有償交付方式それぞれの問題点を踏まえたうえで、どちらの方式で付与するのか検討する必要があります。
とはいえ、会社経営を進めていく中で取締役に対するインセンティブ報酬としてストックオプションの活用が必要な場面もでてくることが想定されますので、その手続きの内容を理解しておくことも肝要と思われます。

取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
五 報酬等のうち次のイ又はロに掲げるものと引換えにする払込みに充てるための金銭については、当該イ又はロに定める事項
イ 当該株式会社の募集株式 取締役が引き受ける当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項
ロ 当該株式会社の募集新株予約権 取締役が引き受ける当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項

金融商品取引法上の留意点

したがって、付与しようとしているストックオプションが「募集」に該当すると認められる場合、有価証券届出書等の届出書で必要となります。
有価証券届出書は、各内閣府令によって定められた詳細な項目を記載しなければならず、加えて財務諸表の監査も必要となるため、時間もコストも要することになります。
そのため、実務上、「私募」にあたるストックオプションといえるような方法を採るのが一般的といえます。

税務上の留意点

【北山】外部専門家ストックオプション付与

これを「税制適格ストックオプション」といい、要件は租税特別措置法29条の2によって厳格に規定されています。
その中でも、IPOとの関係で問題となってくるのは、ストックオプションで取得した株式について証券会社等に保管の委託をしなければならならない(法29条の2第1項6号)という要件がある点です。
上場準備を進めている段階の非上場会社では、この要件を満たすことは事実上困難といえます。


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